こんにちは、ピュアネットジャパンの関根です。
いよいよ梅雨入りですね。
お米の仕事をしていると、この時期は米虫の心配ばかりの嫌な季節です。
さてここのところ、TVやマスコミでは連日のように、食品やガソリンの値上げの話題でもちきりです。
スーパーに行けば、何かいろいろなものが軒並み値上げしていたり、バターが棚から消えてしまっていたり…。
どこかで何かが起こっている感じがしますね。
この5月21日に発刊したNewsWeek誌に「史上最悪の食糧クライシス」という記事が掲載されました。
なんとここ数ヶ月で食糧不足を原因とする暴動が世界22カ国で発生したそうです。
日本にいると、にわかには信じられない話ですが、世界的に見ると穀物の貿易バランスが大きく崩れているようです。
日本国内では稲作農家は米価の下落に悩まされ、今でも離農する生産者が後を立たない状況…。
政府では大規模農家に集約するという政策を打ち出し、数年前に聞いた話では400万戸あった農家を、十分の一の40万戸に減らす計画だとか…。
それでも今現在、日本では唯一自給可能なお米ですが、1993年に決まったWTO農業交渉のおかげで、一方では暴動が起こっている国があるというのに、日本ではいらないお米を77万トンも輸入しなければならないというおかしな状況があります。
77万トンというと日本国内の年間コメ消費量の10%近くに相当する量です。
さて、なぜこうした食糧危機が起こっているのか。
そもそもは、アメリカやEU諸国の一部の輸出大国が巨額の補助金で支えつつ、余剰農産物を新興市場へ投売りしてきたことが、世界的な食糧危機のベースになっているようです。
そうした状況の中で、途上国では安い輸入食糧に頼りきり、自給率を低下させてしまいます。
ベトナム、タイ、バングラディッシュなどは、肥沃な農地を住宅地や工業用地に変えてしまい、マレーシアでは、輸出のためのパーム油のために、米作り農家を減らす…。
中国、インドなどは、急速な経済成長で大量消費国となり、これまでの輸出国はこぞって輸出規制をするという状況。
そして今話題のバイオ燃料ブームも食糧危機に拍車をかけています。
アメリカでは、バイオ燃料用トウモロコシに巨額の補助金が投入され、すでにトウモロコシ生産量の約20%がバイオ燃料用に切り替えられてしまいました。
しかも大豆生産者多くが燃料用トウモロコシ生産に切り替わり、大豆不足の引き金にもなっています。
同様にドイツやフランスでも耕作地の15%は、そうしたエネルギー作物の生産に切り替わっているとか。
こうして世界的な食糧の奪い合いが始まっているわけです。
どこも国益優先ですから、世界のどこかで食糧難による死者がたくさん出ても、食べ物を燃料にしてしまう国があるわけで…。
日本も、先進国の中では最も自給率の低い国です。
いま世界中で起きていることを真剣に考えれば、これ以上農家をいじめて自給率を減らすことがどんなに愚かなことか…。そう思いませんか?
ごはんは茶碗1杯で50〜60円。そんなに安くてお腹いっぱいになるし、1年中食べてても飽きない日本人の主食です。
当たり前にあるからありがたみを感じないのかもしれないけど、おコメ農家がいなくなって毎日イモばかりじゃツライですよね…。
おコメの価値を考えれば、もうちょっと高くてもいいものだと思うわけです。
このままの米価じゃ、日本のおコメ農家もいなくなっちゃいます。
とてもいろいろ考えさせられる世界食糧危機のニュース…。
今回はちょっと社会派「関根珈琲舎」でしたが、皆さんは今の日本の農業政策をどう思いますか?
《2008年6月1日発行 「玄米工房情報ふぁ〜む」コラム記事 関根珈琲舎より》