第41回「縦割り行政に翻弄された低タンパク米」

 こんにちは、ピュアネットジャパンの関根です。


今回はあまり一般の方には知られていない、あるお米の話です。

 

 「LGCソフト」、「LGC1」、「春陽」といった名前のお米を聞いたことがありますか?

きっと市販されているのを見たことがある方は、ほとんどいないのではないかと思います。
 実はこれらのお米、腎臓病患者向けに開発されたお米なんです。
 「低タンパク米」とも言いますが、通常は「低グルテリン米」と呼ばれます。
 これは体内で消化されやすく腎臓に負担をかけるタンパク質「グルテリン」が少ないことに由来しています。

 

 日本国内で、人工透析を余儀なくされている腎不全患者は20万人を超え、毎年約1万人ずつ増えているそうです。
さらには、人工透析に至らずとも腎疾患を抱える患者はその3倍の約60万人。10万人に対して、500人いるというほどの数字です。
 さてこの人工透析療法に入ると4〜5時間もかかる透析を、週に3回も受けなければなりません。
これは患者の身体的負担が大きいだけでなく、当然のことながら、仕事や生活にも大きな制限を強いられることになります。
 また人工透析療法の医療費は、総医療費の3.3%以上を占め、年間1兆円を超えています。
 このように大きな社会問題となっている腎疾患ですが、慢性になると、現代医療でも根本的に完治させることはとても困難です。

入院画像

 そのため食事療法を用いて、腎臓に負担をかける食塩、カリウム、リン、タンパク質、水分などの摂取を制限し、人工透析が必要なほどの悪化を防ぐというのが、一般的な医療現場での方針となっています。
 この食事療法には、これまで人工的な加工処理で、タンパク質を低減したレトルトパック米飯などが用いられてきましたが、値段が高い上に、美味しくないということで、こうした低タンパク米の開発が始まりました。

 

 そしてまず開発された低タンパク米が「春陽」と「LGC1」。 

レトルトパックではなく、普通のお米の病態食として期待大でしたが、食味の評価はいまひとつでした。

 そこで新たに開発されたのが、「LGCソフト」です。
 「LGCソフト」の「LGC」は、Low Glutelin Content=グルテリンが少ないこと、「ソフト」は、柔らかく粘って美味しいことから命名されました。

 

 さて、これらの「低タンパク米」の開発に携った独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構は、旧農林水産省試験研究機関。まさしく農林水産省の全面的なバックアップで叶ったお米でした。
 ところが生産流通が実施され始めて間もない平成14年、これらのお米に対して厚生労働省が、「低タンパク米」、「腎臓病患者向け」といった表記を厳格に規制するという事態が起こりました。
これは、新たに制定された「健康増進法」の基準に合わないとのことによるものでした。

 

 結果的に、農水省が腎臓病患者向けに開発したものを、厚生労働省が却下したという形になってしまいました。
そして「告知することのできない腎臓病患者向けのお米」…はその後、生産する者も、販売する者も激減し、今に至るというわけです。

 

 もし「LGCソフト」にご興味のある方は、弊社までお問い合わせ下さい。

 ただしLGCソフトは、消化しやすいタンパク質が、普通のお米に比べて3分の1程度少ないということだけで、腎臓疾患の予防や治癒効果があるというものではありませんので、病態食としてお考えの方は、必ず専門の医師、および栄養士に、相談して下さい

 

それではまた来月!