田んぼが減ると、洪水や土砂崩れが増える  2006年9月1日記事

「田んぼはお米を作るためだけにあるのではありません!」と、声を大にして言う人が増えれば、お米を輸入しようという発想はなくなるのかもしれませんね…。

 

【田んぼの貯水量は全国のダムの3倍以上。】
最近、温暖化による豪雨や、台風などで、洪水や土砂崩れなどの災害が各地で起こっています。
日本は国土の70%が山地で、傾斜地が多く洪水や土砂崩れが起こりやすい地形をしているのですが、こういった水害や土砂崩れも、実は田んぼが防いでくれます。


日本全国の田んぼの貯水量は、農水省総合食料局のHP資料によれば、およそ81億トン。数字を聞いてもピンと来ないかもしれませんがこの量は日本各地にある治水ダムのなんと3.4倍に相当する貯水量だそうです。


京都大学名誉教授の満田久輝氏は著書「米、再考(集英社刊)」の中で、水田が一定期間保水する雨水の量を、ダムで蓄えようとしたら、概算2兆円を要する計算になったと言っています。
降雨量が非常に多く洪水が起こりやすい日本では雨水をため、ゆっくり川や地下に水を流してくれる田んぼの役割は非常に大きいんです。

 

棚田_s400.jpg

また斜面に田んぼがあれば、田んぼのふちに土を盛り上げた畦(あぜ)が土の流出をガードし、土砂崩れも防ぎます。
急な山の斜面に、段々に作られた棚田は土地を守りながら、お米を作る先人たちの知恵なんですね…。

 

【田んぼは地下水をきれいにするフィルター。】
また田んぼは、地下水をきれいにするフィルターにもなっています。
田んぼの土は表面の作土層(さくどそう)とその下の鋤床層(すきどこそう)の2層構造になっており、そこを抜けてきれいな地下水に浄化されて行きます。


ちなみに作土層というのは、稲を植えるために掘り起こされ養分を豊富に含んでいる土の層で、鋤床層というのは、作業する人や機械を支える役割をする水を通しにくい層のことです。
また有害な窒素分は分解されて空気中に放出されてしまいます。


但し、分解されない農薬や化学肥料はやはり地下水の汚染につながりますので、食の安全だけでなく、環境面から考えてもできる限り自然に近い農業を応援したいものですね。

 

【地盤沈下防止にも一助。】
さてこうして地下へしみ込んだ水のおよそ半分は川へ帰り、残りは地下水となりますが、田んぼは地下水と川の水の量のバランスを取りながら水をゆっくり地下に浸透させて、都市開発などで問題になる水の汲み上げによって起こる地盤沈下も防ぎます。


さらには田んぼの水が蒸発して気温の上昇も抑えてくれますし、蒸発した水は雨雲を作って再び大地をうるおしてくれます。

 

 

田んぼが日本の環境を支えて.jpg

 

【日本のごはんを食べることが水害を防ぐ…。】
このように日本の環境に大きな役割を担う田んぼが輸入米や、米価の下落、後継者難などの理由でどんどん減ってしまうと、日本の環境はどうなってしまうんでしょう…。


「安いし」、「美味しいし」だけで主食のお米さえも輸入に頼り、自給率を減らしてしまうと、大自然からも手痛いしっぺ返しを受けてしまうかもしれませんよね…。
みんなで日本のごはんをいっぱい食べましょう!

 

「玄米工房通信」2006年9月1日記事